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今回の現役トレーダー C氏
1986年欧州系銀行に入行。その後、米系銀行に転職。スポット、フォワードディーラー担当後、カスタマーディーラーに。その後、通貨オプションなどのデリバティブ、さらにここ5年くらいは金利デリバティブも扱う。
かつて「伝説のトレーダー」と呼ばれた人のなかには、トレーディングで利益を上げたわけではなく、アメリカのお客さんから来た大量の建玉をさばいて何銭かサヤを抜いて、毎晩何億円儲かったと言って自慢している人がいました。それで夜な夜なシャンパンを空けたり(笑)。でも、そういう人はトレーダーではありません。単なる執行者です。真のトレーダーはやはり、自分でポジションを持って稼ぐ人のことを言います。伝説のトレーダーと言われる人は、たとえば、ドルが80円を割れるまで下がっている状況でも勇気をもってどんどんドルを売れる人だと思います。だいたいみんなどこまで行くのか不安になって、気持ち悪くなって途中で決済してしまうものなのです。
----ドル円が80円を割った時、ディーリングルームはどんな状態だったのでしょうか?80円割れのときは、まさにセリングクライマックスだと相場を見ていた人間なら感じたと思います。1円落ちるのが数秒という感じで、マーケットにbidが出てこない状態だったんです。あのときは恐怖心を覚えましたね。私はポジションを持てる立場にいたんですが、ポジションは持っていませんでした。同僚のディーラーがドルをロングしていたのですが、ドルがみるみる下がって……それでも彼は買い下がっていったんですが、損失が増えすぎてもう損切らなきゃならない、というレベルに達したその時、やっと相場が反転して、無事プラスで手仕舞えました。あのときは、みんなで冷や汗をかきましたね。
----先日、急激に円高になりましたが、なかなか外貨を売ることができず、むしろ押し目買いのチャンスと考えて飛びつく人も多かったように思います。それは仕方がないと思いますよ。トレーダーだって、ずっと円高局面で勝ってきた人はそこに成功体験がありますから、円安トレンドの時になかなか円を売れません。円高時で大勝ちした我々の先輩のなかには、円安時にマーケットから退場してしまった人もいます。プロでも自分の成功体験を打ち破るまで時間がかかりますよ。でも、一般投資家の方には柔軟になれと言いたいです。難しいですけれどもね。
----勝つために、これは守った方がいいということがあったら教えてください。ある程度余裕をもったポジションにしておいたほうがいいですね。いつも自分のリミットいっぱいに張っていると、少し自分のポジションと反対の方向に行ったら焦っちゃって、すぐにマーケットから出てしまうということがあります。そこから自分の思惑通りにマーケットが動くということはよくあるので、ある程度余裕をもったポジションで自分の資金力の中でやらないと、相場に参加しつづけることは難しいですね。 それから、相場は勝ったり負けたりするもので、勝ち続けることはまず無理です。5分5分でいいと思います。そのかわり、損切りを早くすることです。それから、負けてもすぐ次にチャンスがあるので、相場を常に見てないといけない。よく負けて損切りしてしまうと、もう相場を見なくなってしまう人がいますが、次の瞬間からすごい相場が来ていたりすることがあるんですよ。ですから、常にマーケットを追っていることが重要です。自分の周りの人を見ていると、負けた後の返す力、反発力がないとトレーダーとしては生きていけないと感じますね。
----レバレッジを上げてたくさん張っていた方が儲かりやすいという風潮もありますが……。確かに、常に抑え気味に取引していたらいつまでたっても儲からない、という考え方もわかりますから、ある程度自信があるときは大きく、自信がないときや相場が不安定な時は少なめに……などとポジションを柔軟に変えていくのがいいと思います。とにかく1回負けただけで相場から撤退というのは避けなければいけない。レバレッジ100倍で張れるからといって、常に全力で、レバレッジ100倍で取引していたら、損切りを3回したら、資金なんてなくなっちゃいますから。あと、常にストップを置かなければいけない。なかには置かない人もいますけれど、僕は置いたほうがいいと思いますね。
----よく損切りについて、“損を小さく利を伸ばせ”と言いますが、ストップをきつめにおいたら、ストップの方が先につく確率が高くなると思いますが……。それは非常にその通りです。少し前の相場のようにトレンドがはっきりしていると、ストップがついて、また相場が戻っちゃうという体験をしている人は多かったと思います。そうなると、結局、ストップを置かなければよかったとなる。ただ、そんな状態は続きませんので、きちんとストップを置かないといつか痛い目に遭うのです。ここ2~3年で上げ相場しか見ていな人のなかには、下げるなんて想像できないと思い込んでいる人もいましたが、やっぱりそれは違いました。上がったり下がったり。それが相場の常ですから。