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世界の通貨 ユーロ/米ドル解説

ユーロ/米ドルは、 1999年1月のユーロ導入以来、世界の外国為替市場で取引される多数の通貨ペアの中で、 圧倒的な取引量の多さを誇っています。 最近では、米国の経済・金融政策への不信や、2007年末時点でユーロ導入国すべてが 安定・成長協定(注)を達成する見込みとなったことへの評価などから、外貨準備を 米ドルからシフトする国も多く、ユーロは米ドルに次ぐ第2の基軸通貨としての地位を 固めつつあります。 外国為替市場でも、ユーロ/米ドルは、かつて「為替取引の女王」と呼ばれ、 市場の主役として君臨していた米ドル/ドイツマルクの地位を今や完全に継承したと 言えます。

  • ※ ユーロ導入の際に参加国に課する条件を定めた協定で、財政では、財政赤字がGDP比3%以下、債務残高がGDP比60%以下であること、物価では、過去1年間の消費者物価指数が消費者物価上昇率の最も低い3カ国の平均値を1.5%より上回らないこと、などの様々な厳しい条件が盛り込まれている。参考までに、2006年の財政赤字(GDP比は)日本が4.3%、米国が3.7%、英国が3.0%、ユーロ圏が1.5%となっています。

ユーロ/米ドルは、外国為替市場の主役である通貨ペアであることから、世界中の市場で活発に取引されていますが、東京市場が終わってロンドン市場が始まる時間帯である日本時間15時過ぎ辺りから取引が厚みを増し、さらに、ニューヨーク市場の取引が活況となる日本時間21時過ぎ以降には、米国の経済指標やイベントの結果などを受けて相場が大きく動く傾向があります。

ユーロドルチャート/FX

相場の動きの特徴

1, 米国の材料に反応しやすい
基軸通貨である米ドルと、その他の通貨の中で唯一米ドルに比肩し得る第2の基軸通貨であるユーロとの組み合わせであるユーロ/米ドル取引は、ユーロ圏の材料だけではなく、必然的に米ドル、そして米国の影響を受けやすくなります。つまり、米ドルとユーロは光と影の関係であり、財政赤字問題や地政学的リスクなどの米国、米ドルの影の部分が市場で注目されると、カウンターとしてのユーロは米ドル売りの受け皿として買われる、逆に米国の政策金利引き上げ期待の台頭のように米ドル買いの材料が出る時にはカウンターとしてのユーロが売られやすいといった特徴があります。具体例としては、ユーロ発足後の1999年から2001年にかけては、ユーロ圏の景気は堅調地合を持続していましたが、ユーロ/米ドルは1.19台前半から0.82台前半まで大きくユーロ安/米ドル高が進みました。この背景には、米国のITブームという光の部分に対して欧州からの莫大な投資資金が流入したことによりユーロ圏の堅調な経済成長にも拘わらず、米ナスダック市場上昇とユーロ売り/米ドル買いが連動する相場の構図が成立していたことが指摘されています。
2, 莫大な投資資金が流入するため、値動きが激しい
基軸通貨と第2の基軸通貨の組み合わせであり、圧倒的な取引量を誇るユーロ/米ドル取引には世界中の投資資金が流入します。これらの中には、直接投資や、債券・株式などの金融商品への投資に伴う資金も含まれますが、多くの部分は為替差益を狙った投機的な取引であり、米系、欧州系、中東系、アジア系、東欧・ロシア系などの世界中の様々な地域から、金融機関、 ヘッジファンド、中央銀行、商品会社、多国籍企業などのビッグプレイヤーが取引に 参加します。このことから、経済指標の結果やG7などのイベントなどによって相場が急速に動き始めると、これらの投機資金の動きにより相場が加熱し、ストップロスオーダーが誘発されて急伸・急落に拍車が掛かるといった展開が頻発しますので、リスク管理がより重要になります。
3, 実需ベースの取引も多いため、いったんトレンドが出ると継続しやすい
2)とは別に、米欧間の膨大な貿易関係を反映して、輸出・輸入に伴う実需ベースの取引が多いことも特徴です。2)の相場の動きとは異なり、実需ベースによる取引は短期間に相場を一気に過熱させることはありませんが、米国の多国籍企業などの動きが目立つようになると、ボディブローのようにトレンドを作ることが多く、取引に際しての重要なポイントとなります。具体例としては、2005年の米国投資法(HIA)(注)に伴い、米企業による米ドル買い/ユーロ売りの流れが継続してユーロ/米ドルが2005年初頭の1.35台後半から年後半には1.16台前半までユーロ安/米ドル高が進行したことが挙げられます。
  • ※ 米国投資法は、米国の多国籍企業が海外子会社で得た収益を、親会社に配当として還流させる場合、資金が米国内で再投資に使われる場合に限り所得税率を従来の35%から5.25%に引き下げる2005年限りの期限立法
4, ユーロクロスなど他のクロスの影響を受けやすい
現在、世界の主要な為替市場の中で、最も活発に取引が行われていて、取引通貨の多さから、為替市場の百貨店とも呼ばれているロンドン市場では、ユーロの他に、ポンド、スイスフラン、北欧・東欧などの欧州通貨、アフリカ・中近東などの通貨、アジア通貨なども盛んに取引されており、これらの通貨をユーロに対して売買するユーロクロスの取引が活発です。日本では、 これらのユーロクロスの動きはあまり注目されませんが、ユーロの動き、なかでもユーロ/ポンド、ユーロ/スイスフランなどの対欧州通貨でのユーロクロスの動きは、M&Aや、投機資金などの大きな資金が入り易いことからユーロ/米ドルの動きに大きな影響を与えます。日本で為替取引を行う際にも、前日の欧米市場で、これらのユーロクロスがどのように動いたかのチェックは欠かせません。
5, 対円通貨と比較してテクニカル分析になじみやすい
為替市場1の取引量を誇るユーロ/米ドルは、その流動性の高さから、他の通貨ペアと 比較して短期的な需給要因に左右されにくく、さらには、G7通貨であることから、市場の規制などの制度的な制約も受け難いと言われています。このことは、同じG7通貨の円が市場の規制、日本独自の市場習慣や、日銀による大規模介入・長年に渡るゼロ金利政策の影響などの歪みから、特にクロス円取引ではテクニカル分析が有効に機能しないことが多いのとは対照的に、ユーロ/米ドルは不安定要素を排除して、テクニカル分析に 比較的忠実な動きをすることが多いことから、テクニカル分析の入門には 適していると言えます。

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