銀行の為替予約と違い、レバレッジを使ってFXの外貨の買いポジションを持った場合、急激な円高により「強制ロスカット」の可能性があります。「強制ロスカット」になると、せっかく保有した外貨ポジションがなくなり、そのうえ預けた証拠金が毀損してしまうことをご心配になるかも知れません。しかし、その場合でも、ロスカット直後に再度、同じポジションを建てれば、円高によって円換算コストが低減するため、強制ロスカットによる損失額をカバーでき、実質的な損失はありません(取引コストは除く)。なお、証拠金に余裕を持たせる(実質レバレッジを下げる)ことで、強制ロスカットはされにくくなります。

レバレッジ10倍で、1ドル105.00円のときに10万ドルの買いポジションを保有 (このときのFX取引手数料は片道3,000円)




| 区分 | 事例1 (強制ロスカットがなかった場合) |
事例2 (強制ロスカットが発動され、 その直後に同水準で 同じポジションを 取り直した場合) |
|---|---|---|
| 外貨取引金額 | 10万ドル | 10万ドル |
| 最初の買いポジションの レート |
105.00円 | 105.00円 |
| 外貨取引金額の円換算額 | 10,500,000円① | 10,500,000円⑥ |
| 必要証拠金(口座入金額) | 1,050,000円② | 1,050,000円⑦ |
| 取引手数料 | 3,000円③ | 3,000円⑧ |
| 強制ロスカットによる毀損額 | - | 858,000円⑨ |
| 強制ロスカット(=売り取引) の手数料 |
- | 3,000円⑩ |
| 強制ロスカット後の口座残高 | - | 186,000円(⑦-⑧-⑨-⑩)⑫ |
| 2回目の外貨取引金額 | - | 10万ドル |
| 2回目の買いポジションの レート |
- | 96.42円 |
| 2回目の外貨取引金額の 円換算額 |
- | 9,642,000円⑬ |
| 必要証拠金 | - | 964,200円⑭ |
| 2回目の買いポジションを持つ ために必要な追加入金 |
- | 778,200円(⑭-⑫)⑮ |
| 取引手数料 | - | 3,000円⑯ |
| 「受渡し」の時に必要な 追加入金 |
9,450,000円(①-②)④ | 8,677,800円(⑬-⑭)⑰ |
| 「受渡し」費用 | 5,000円⑤ | 5,000円⑱ |
| 10万ドル調整のコスト合計 | ②+③+④+⑤=10,508,000円 | ⑦+⑮+⑯+⑰+⑱=10,514,000円 |
| コスト比較 | - | 6,000円のコスト増 |

10万ドルの買いポジションを保有する場合、レバレッジの倍率が上がっても、為替リスクが高くなる訳ではありません。為替リスクはレバレッジではなく、取引金額によって決まります。10万ドルの取引であれば、レバレッジが違っても、為替リスクは同じです。レバレッジを上げると取引に必要な証拠金が小額で済むので資金効率は上がりますが、強制ロスカットの可能性は高まるので、強制ロスカットを避けるための追加入金、あるいは強制ロスカットになった場合に再度ポジションを建てるなどの管理コスト・取引コストが増える点に注意してください。

| 商品 | レバレッジ | 必要証拠金 | 強制ロスカット時 点の担保余力 |
強制ロスカット までの値幅 |
為替ヘッジの適否 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1倍 | 1,000万円 | 強制ロスカット なし |
- | △ (ヘッジ金額の全額の資金必要) |
|
| 5倍 | 200万円 | 20%未満 | 約16円 (1ドル100円→約84円) |
○ (ヘッジ金額の1/5の資金でポジション保有でき、強制ロスカットのリスクも大きくない) |
|
| 10倍 | 100万円 | 20%未満 | 約8円 (1ドル100円→約92円) |
○ (ヘッジ金額の1/10の資金でポジション保有できるが、強制ロスカットには注意が必要) |
|
| 20倍 | 50万円 | 40%未満 | 約2円 (1ドル100円→約98円) |
○ (ヘッジ金額の1/20の資金でポジション保有できるが、強制ロスカットには注意が必要) |
|
| 50倍 | 20万円 | 100%未満 | 0円 (スマートトレード50倍は担保余力100%未満で強制ロスカット) |
○ (ヘッジ金額の1/50の資金でポジション保有できるが、強制ロスカットには注意が必要) |
|
※法人向け商品 |
100倍 | 10万円 | 100%未満 | 0円 (スマートトレードProは担保余力100%未満で強制ロスカット) |
× (強制ロスカットになりやすく、為替ヘッジには適さない) |
※評価損益がない状態で口座残高全額を必要証拠金として買いポジションを建てた場合(担保余力100%)

上記のとおり、レバレッジを上げれば、必要証拠金を減らせる半面、小さな為替変動で強制ロスカットされる可能性が高まります。しかし、高レバレッジであっても預託金に余裕を持たせれば(余剰証拠金を増やす)、実質レバレッジは低下し、強制ロスカットはされにくくなります。


輸入貿易のような国際間の取引の場合、相手方の船積み予定日が延期になって決済時期も予定より先になる、というようなことはよくあることです。銀行で為替予約を取っていたとしても、さらに予約の延長契約を結ぶ場合は新たにコストが発生することになります。しかし、FXのポジションであれば、もともと決済の期限がありませんので、新たなコストが発生することなく、決済時期までポジションを保有できます。